めっき学校 報告コラム 第2回~ニッケル!~
こんにちは 深田パーカライジングのT.Yです。前回、めっき学校に通い始めたことについて書きましたが、5月からはついに実験が始まりました。
最近はほとんど講義を聞くような勉強をしていなかったので、正直ずっと座学だと8時くらいには集中力が切れ始めてましたが、これからは実験になるので座学よりは気持ちが楽ですね。
まぁ、実験も始まったので、今回は初めての実験のこととニッケルの電気めっきのことについて書いていきたいと思います。
電気めっきって?
電気めっきとは金属を溶かした液に品物をつけて、電気を流すことで、品物の表面に溶けた金属を摘出させてめっきを付ける方法です。特に今回、学校でやったニッケルめっきのワット浴(同じニッケルめっきでも使う薬品の違いによってめっき浴の呼び方が変わります。)について紹介していきます。
ワット浴
ニッケルめっきの中でもワット浴は硫酸を使ってニッケルを溶かしていきます。浴の組成は主に硫酸ニッケル (ニッケルが入っている)
塩化ニッケル (ニッケルを溶かしたり、電気を流れやすくする)
ホウ酸 (浴が少しずつアルカリ性になっていくのを防止する)
の3つでそれぞれ重要な働きをします。
実験してみよう
というわけでやっと実験の話になるのですが、今回の実験に使ったのはハルセル試験です。上の写真のような装置でテストピース(黒いコードに挟まれている壁に金属板があります。)にめっきすることでめっき液の様子を見ます。
テストピースが斜めに入っているので陽極までの距離(電気が液を流れる距離)が変わり、右側と左側で電気の流れる量が変わってきます。その違いを比べてめっき液をテストします。
今回、学校でやった実験はハルセルでニッケルめっき浴で塩化ニッケルを入れなかったりホウ酸を入れなかったりしたらどうなるのかを見ていきます。
結果は?
Ⅰ-1 塩化ニッケル、ホウ酸 両方なし Ⅰ-2 塩化ニッケルなし、ホウ酸あり
Ⅰ-3 塩化ニッケルあり、ホウ酸なし Ⅰ-4 塩化ニッケル、ホウ酸 両方あり
結果は上のようになりました。左側の電流が強く右にいくにつれて弱くなります。
ちょっと映り込みが強くて、写真が斜めってますが、塩化ニッケル、ホウ酸の両方とも入ってないⅠ-1は 電流の強い方(左側)に緑ものがついています。ここでは電気が強すぎて水素ガスが発生してしまいめっきがついていません。その横もビリが出てしまっています。
これにホウ酸を入れると(Ⅰ-2)きれいになりました。ただ、めっきをつけている最中、陽極からはガスが発生していました。
逆に塩化ニッケルあり、ホウ酸なしでめっきを付けると(Ⅰ-3)、また緑のものやビリが出てしまっています。しかし、今回は陽極からガスは発生していませんでした。
最後に両方入れたら(Ⅰ-4)きれいになり、また、陽極からガスは発生していませんでした。
結果から
上の結果から、ニッケルめっきをきれいにつけるためにはホウ酸が必要だということがわかりました。また、塩化ニッケルを入れると陽極からガスは発生しませんね。これはガスを発生させるのに使われていた電気が陽極を溶かすために使われることが分かります。つまり、陽極にニッケルを使うとそれが溶けて浴にニッケルが供給されていきます。
めっき学校では前半で座学、後半で実験の授業をやります。
学生の時以来こんな実験をしていなかったので、ちょっと懐かしいですね、ガスバーナーとかだいぶ久しぶりに見ました。
それでは、また 次のコラムで