めっき学校 報告コラム 最終回~メッキは広大だわ...~
めっき学校も3月の半ばでついに卒業しました。
授業が終わるのが8時くらいになるので、けっこう大変でしたが、自分が使わないめっきのことが知れたり、普段はできないような実験ができたので良かったと思います。
今回は先月と同様にめっきの耐摩耗性や硬さ試験をやったので、それを書いていこうと思います。
耐摩耗性実験
今回、耐摩耗性を測るために使ったのが往復運動摩耗試験機です。簡単に言うと表面をヤスリで削ってみて、どれくらい削れるかを見る機械です。

こんな機械です。
摩耗輪にヤスリを巻いてその上に品物を置き、台ごと品物を動かすことでヤスリで削っていきます。
テストピースは無電解ニッケルめっきと、さらにそれを加熱処理したもの の2種類を使います。
まずは、試料の表面を両方とも合わせるために予備摩耗で面調整します。そのため50往復(DS)分、最初に削ります。

予備摩耗した後の写真です。青っぽい色をした方が加熱処理をした方になります。
この後、テストピースの重さを電子はかりで測ります。

ここから本摩耗200DSを2回行い、重さを測って差を出すことで、どれくらい削れたかを見ていきます。
結果
結果は次の表のようになりました。
本摩耗で何㎎削れたかと耐摩耗性(DS/㎎)です。
耐摩耗性は1㎎削るのに何往復必要か なので、数字が大きいほうが耐摩耗性が強いことになります。
テストピース | 熱処理なし(銀色) | 加熱処理あり(青色) |
予備摩耗と1回目の本摩耗の差 | 8.67㎎ | 6.81㎎ |
予備摩耗と2回目の本摩耗の差 | 18.79㎎ | 16.92㎎ |
耐摩耗性(DS/㎎) | 21.29 DS/㎎ | 23.64 DS/㎎ |
加熱処理ありのほうが耐摩耗性は高くなったことがわかります。しかし数字を見ると1.1倍ほどで大きな変化はないようです。
硬さ試験
今回はさらに同じテストピースで硬さ試験も行いました。専用の機械ですぐに数値が出てくるのでやり方は省きますが、同じ力でひし形の傷をつけて、傷の大きさから数値を出します。
すると結果は、加熱処理なしのほうが532HV、加熱処理ありのほうが901HV、と加熱処理ありのほうが1.7倍ほど高くなりました。つまり、硬いからといってその分耐摩耗性が強くなるわけではなさそうです。
さいごに
最初に書いたように3月でとりあえず卒業はしましたが、夏にめっき検定2級の試験があるので、まだまだ気を抜けません。学校では一つのめっきについて応用的なところまでしっかりと、というよりは、色々なめっきや処理方法、材料などについて基礎的なことを学ぶことが多かったと思います。
これからは学校で教わったことを仕事で活かしたり、他のめっきではどうやっているのか考えたりできればいいと思います。
ぼくは学校を卒業しましたが、また今年の4月からも弊社から1人学校に通い、毎年誰かが学校に行くことになります。
それでは、1年間短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました。