めっき学校 報告コラム 第7回~ひと目で尋常でない かっしょくだと見抜いたよ~

めっき学校が始まって半年が経ちついに折り返し地点に来ました。10月からは後期ということで席替えをしたのとこれからまた実験が始まります。正直、座学だけだと集中力がもたないのでありがたいです。
後期の実験では液分析の滴定実験が主で、今回はニッケルめっき液中の塩化物の分析実験を書いていきます。
滴定実験
前のコラムでも少し書きましたが、ニッケルめっき液中には塩化ニッケルが入っています。今回の実験ではこの塩化ニッケルがどれくらい入っているのかを測る実験です。具体的には測りたいニッケルめっき液に、クロム酸カリウム指示薬を入れて、硝酸銀溶液を滴定することで測定していきます。
まず、硝酸銀中の銀イオンが塩化ニッケル中の塩化物イオンと反応して白色沈殿物(塩化銀)になります。
そして硝酸銀がめっき液中のすべての塩化物イオンと反応し終わると、こんどはクロム酸カリウムと反応して褐色沈殿物(クロム酸銀)になります。
このとき、塩化物イオンと反応する銀イオンの数は同じになるので、褐色沈殿物が出始めたときまでに入れた硝酸銀の量から塩化ニッケルの量を出すことができます。
何となくイメージできたでしょうか?では、実際にやってみるとこうなります。
やってみた
まず、ニッケルめっき液は最初緑色をしています。

これにクロム酸カリウムを入れると、黄緑色になりました。

これに少しずつ硝酸銀を入れていきます。すると少しずつ白っぽく濁ってきました。塩化銀ができていますが、まだ沈殿する量じゃないですね。さらに硝酸銀を入れていくと、塩化銀が白色沈殿物として出てきます。
さらに入れつづけると写真ではわかりづらいかもしれませんが、白色沈殿物に混じって褐色沈殿物も出てきました。ここで滴定を止めて入れた硝酸銀の量を確認します。
結果
今回、硝酸銀は16.46㎖入れました。これをもとに計算していくと、実験で使ったニッケルめっき液には39.02g/ℓの塩化ニッケルが入っていることがわかりました。
何となく滴定実験のイメージが伝わったでしょうか?実際に使っているめっき槽でもこのようにして液分析をして、消費してしまった分の薬品を補給したりします。
学校ではこのほかにもいろいろな滴定実験をしますが、特にこの実験は液の色を見るのではなく、底にたまった沈殿物の色を見るので少し大変でした。ひと目で見抜いたと言いましたが、実際には何度も確認してます。すいません、、
それではまた次回のコラムで、