めっき学校 報告コラム 第5回~滅金の匣、あるいは排水の事~

8月はだいぶ熱くなって、学校に行くまでに汗だくになってしまいますね。ただ、学校まで行けば冷房が効いているので、行ってしまえばすずしいです。てか、少し寒いくらいに、、、
今月も座学ばかりで、ついに全く実験がありませんでした。それどころかテストもあって、なんか8月はいつもより長い気がしましたね。実際はお盆休みがあって短かったんですけど。
普段の授業では各種のめっきのことや前処理のことが多いのですが、今月は排水処理の授業があったので、今回はそれについて書いていこうと思います。
排水の規制
皆さんも聞いたことがあると思いますが、高度経済成長のころ工場排水をそのまま流したことで公害問題が発生しました。水俣病やイタイイタイ病のことですね。そしてその対策として各工場に排水処理設備の設置が義務化されました。
特に、めっきと排水処理は切っても切れない関係です。物の汚れや錆を落とすのに強い酸を使ったり、めっきする金属を溶かすために強い薬品を使いますからね、オンパレードです。
めっき液には溶けた金属や、その金属を溶かすために強い薬品が含まれています。それが常にめっき浴にあればいいのですが、めっきした製品を浴から出す時に液も一緒についてきます。それを水洗した水が排水へ流れることになるため排水処理を行っています。
排水処理
排水処理のやり方は排水された物質によって違いますが、ほとんどが化学反応を使って 害のない物質にするか、沈殿させて取り除くか の二つに分かれます。
例えばシアンの場合は分解して無害な物質にします。
まず、シアンを酸化剤でシアン酸にします。(CN⇒CNO)
それを窒素と炭酸に分解します。(CNO⇒N₂、CO₃)
こうすることでシアンを無害な物質(窒素と炭酸)に変えることができます。
金属には酸に溶けるものやアルカリに溶けるものがあり、その酸、アルカリを調整することで、沈殿させます。例えば、硫酸に亜鉛が溶けているものに水酸化ナトリウムを混ぜて
ZnSO₄+2NaOH → Zn(OH)₂+Na₂SO₄
となり、Zn(OH)₂が沈殿物として出てきます。それをフィルターなどで取り除き、きれいな水として流します。
こんな感じでうちの会社でも排水処理をしています。これで安心して薬品をながせますねドボドボドボッ、、、と、やってしまうと排水処理に負担がかかってしまうので、無駄に使ったり、流したりしないことが一番大切です。それではまた次回。